2019年04月08日
ソニー音楽財団 災害復興支援プロジェクト「小・中・高校生とともに贈る『第九』チャリティ・コンサート」レポート アップ
東日本大震災から8年が経った2019年3月、ソニー音楽財団は、災害復興支援プロジェクトとして、「小・中・高校生とともに贈る『第九』チャリティ・コンサート」を開催しました。
今回は、公募で選ばれた小・中・高校生とその保護者39名が、「第九」スペシャル合唱団として、プロの演奏家たちと同じステージに立ち、災害復興支援のためにベートーヴェンの交響曲第9番を演奏しました。
5ヵ月間におよぶ練習と、大盛況のうちに終了したコンサートの模様をお伝えします。
文:ソニー音楽財団 / 写真:上野隆文
当財団は、2011年3月11日、未曽有の災害で被災された方々を支援するには何ができるのか考え、世界中で愛されているベートーヴェンの「第九」交響曲のコンサートを開催することで復興支援活動を行うこととし、2011年以降、毎年継続して「第九」チャリティ・コンサートを開催してきました。
2018年度より、東日本大震災のみならず、日本各地で発生する災害に対する復興支援に対象を広げ、2017年度まで行っていた「第九」を聴くことによって災害復興支援に参加する「小・中・高校生のための『第九』チャリティ・コンサート」から、小・中・高校生が演奏に参加できる「小・中・高校生とともに贈る『第九』チャリティ・コンサート」へと発展させ、2019年3月10日(日)に東京オペラシティ コンサートホールにて開催しました。
出演:
秋山和慶(指揮・おはなし)、
高橋薫子(ソプラノ)、鳥木弥生(メゾ・ソプラノ)、村上敏明(テノール)、久保田真澄(バス)、
「第九」スペシャル合唱団 ≪新国立劇場合唱団&小・中・高校生およびその保護者≫(合唱)、
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)、
はいだしょうこ(ナビゲーター)
公募で合唱団に選ばれた小・中・高校生とその保護者39名は、コンサート5ヵ月前の2018年11月、都内の練習場に集まりました。指導者は、この「第九」チャリティ・コンサートにもソリストとして出演する、テノール歌手の村上敏明さん。村上さんのユニークな人柄により、参加者の緊張もほぐれ、和やかな雰囲気の中での練習となりました。
全10回の練習の中では、ドイツ語の読み方から始まり、ソプラノ・アルト・テノール・バスの各パートの音取り、ハーモニーの組み立て、歌唱表現の方法などを学んでいきました。参加者の音楽に対しての姿勢はとても真摯で、練習は熱気にあふれていました。
また、バス・バリトン歌手の成田眞さんによるドイツ語のディクション(声楽における原語の発音法)練習や、指揮者の秋山和慶さんによる直接の指導などを経て、コンサート1ヵ月前には、練習開始時とは見違えるように上達しました。
コンサート前日には、出演者全員でリハーサルを行いました。この日、人生で初めてオーケストラと一緒に演奏するという参加者がほとんど。普段の生活の中ではなかなか体験することのできないこの機会を、目を輝かせながら秋山和慶さんの指揮で真剣に歌う姿が、とても印象的でした。
2019年3月10日、コンサート当日。
コンサートは、秋山和慶さんと、はいだしょうこさんによる復興支援についてのお話から始まり、ベートーヴェンに関することや、「第九」の作曲にいたるエピソードなど、分かりやすく楽しいお話をしていただきました。
後半はいよいよ「第九」の演奏。
静まり返った会場に秋山和慶さんのタクトが振り下ろされ、東京フィルハーモニー交響楽団がベートーヴェンの傑作を奏で始めます。満員のお客様に見守られる中、第4楽章に入ると、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏にソリスト・新国立劇場合唱団・小・中・高校生とその保護者の声とが重なり、大迫力の“歓喜の歌”がホールに響き渡りました。大喝采の拍手を浴び、コンサートは熱狂のうちに終了しました。
この「第九」チャリティ・コンサートの入場料収入と、当日会場での募金の合計2,139,328円は、全額を災害復興支援団体へ寄付いたしました。(寄付先:公益財団法人 音楽の力による復興センター・東北【1,069,664円】 / 子どものための災害時緊急・復興ファンド【1,069,664円】)
なお、2011年からのこのチャリティ・コンサートでの寄付総額は、10,866,205円となりました。
当チャリティ・コンサートにご来場されたお客様、出演者一同の「災害復興支援のための想い」が各被災地にも届くことを願い、そして1日も早い復興の一助を担っていくことが出来れば幸いです。