2018年10月25日
「第12回 国際オーボエコンクール・東京」レポート アップ
若手音楽家の育成・支援を重要な活動のひとつとする公益財団法人ソニー音楽財団は、
2018年9月29日(土)~10月7日(日)、東京オペラシティ リサイタルホールおよび紀尾井ホールにて
「第12回 国際オーボエコンクール・東京」を開催いたしました。
日本人の浅原由香さんが最高位(第2位)を受賞し、最終日の「入賞者&審査委員コンサート」を大盛況のうちに終えた、9日間におよぶコンクールの結果をお伝えいたします。
文:ソニー音楽財団 / 写真:三浦興一(浅原由香コメント写真除く)
「国際オーボエコンクール」は、オーボエの素朴でやさしい音色を愛し、オーケストラのクオリティを決定づける楽器としての重要性を唱えた当財団初代理事長 故大賀典雄(元ソニー株式会社会長)の発案のもと、音楽を通じた国際交流と音楽文化の振興に寄与することを目的に、1985年より始まり、3年毎に開催している、世界でも大変珍しいオーボエに特化したコンクールです。
これまでにパリ管弦楽団、ルツェルン祝祭管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ロンドン交響楽団、サイトウ・キネン・オーケストラ、東京交響楽団ほか、世界屈指のオーケストラの首席オーボエ奏者などを輩出しており、世界の若手オーボエ奏者の登竜門として国際的に認知されるまでとなりました。
今回は、会場を15年振りに東京へ遷し開催。24の国と地域から169名の応募があり、厳しい予備審査を通過した46名が第1次予選に出場いたしました。
第2次予選(18名出場)、本選(6名出場)を経て、浅原由香さん(日本)が、最高位となる「第2位」を受賞しました(第1位[大賀賞]は該当者なし)。前回の第11回に続き、日本人オーボエ奏者が最高位を受賞するという結果となりました。
第12回 国際オーボエコンクール・東京 入賞者
第1位[大賀賞] | 該当者なし |
第2位 | 浅原由香(日本) |
第3位 | アンドレイ・チョロキャン(ロシア) アルマン・ジコルム(フランス) |
入賞 | ナタリア・アウリ(ベネズエラ) 裵 紗蘭/ペ・サラン(韓国) ジョエル・ココ(イタリア) |
聴衆賞 | アルマン・ジコルム(フランス) |
奨励賞 | 高橋鐘汰(日本) |
(アルファベット順)
下段左から
ジョエル・ココ、ナタリア・アウリ、アンドレイ・チョロキャン、浅原由香、アルマン・ジコルム、
裵 紗蘭、高橋鐘汰
上段左から
加藤 優(公益財団法人ソニー音楽財団 理事長)、吉田 將(審査委員)、ゴードン・ハント(審査委員)、
小畑善昭(審査委員)、モーリス・ブルグ(審査委員)、ハンスイェルク・シェレンベルガー(審査委員長)、
古部賢一(審査委員)、ドワイト・ペリー(審査委員)、神戸司郎(ソニー株式会社 執行役常務)
(※敬称略)
<本選の様子>
第2位(最高位)浅原由香
指揮:渡邊一正
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
オーボエ協奏曲(リヒャルト・シュトラウス)
第3位 アンドレイ・チョロキャン
弦楽トリオ:クァルテット・エクセルシオより
西野ゆか、吉田有紀子、大友 肇
オーボエ四重奏曲(モーツァルト)
第3位 アルマン・ジコルム
指揮:渡邊一正
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
オーボエ協奏曲(リヒャルト・シュトラウス)
≪浅原由香さん、受賞に際してのコメント≫
「この度は歴史あるコンクールにて名誉ある賞をいただき大変光栄に思っております。予選、本選へと進む過程で、私自身の中で何かを競い合うという感覚はなく、かねてより憧れであった舞台に立つことができるという喜びの気持ちで満たされていました。演奏家として活動することの意義、そしてその幸せを改めて実感することができる貴重な経験となりました。
ご指導いただいた諸先生方、応援し見守ってくれた家族、多くの刺激を与えてくれた友人、ご縁のあった全ての方々に深く感謝申し上げます。今後もオーボエを通じて、聴いてくださる方々に笑顔と幸せを届けられるような演奏家を目指し、音楽と向き合ってまいりたいと思います。」
最終日の10月7日(日)には、紀尾井ホールにて「入賞者&審査委員コンサート」を開催いたしました。入賞者からは、浅原由香さん、アンドレイ・シュロキャンさん、アルマン・ジコルムさん、裵 紗蘭さんの4名が出演し、コンクールの重圧から解放された、瑞々しい演奏を聴かせてくれました。その他、世界の第一線で活躍する審査委員たちによる演奏や、前回コンクールの第1位[大賀賞]受賞者の荒木奏美さんによるゲスト出演など、オーボエの魅力を堪能できるコンサートとなりました。満員のお客様からの万雷の拍手を受け、「第12回 国際オーボエコンクール・東京」は幕を閉じました。
<10月7日(日)「第12回 国際オーボエコンクール・東京」入賞者&審査委員コンサート>
<第12回 国際オーボエコンクール・東京>
課題曲
予備審査 (非公開) |
下記課題曲 2 曲を、1)、2)の順に演奏し、録音すること。 |
1) | G. Ph. テレマン:無伴奏フルートのための 12 の幻想曲より 第11番 |
2) | C. シューマン:ヴァイオリンとピアノのための 3 つのロマンスより Ⅱ |
第1次予選 | 下記課題曲 2 曲を演奏すること。(曲順任意) |
1) | R. シューマン:民謡風の5つの小品集より Ⅱ+Ⅲ またはⅡ+Ⅳ |
2) | A. ドラティ:オーボエのための5つの小品より Ⅰ+Ⅴ |
第2次予選 | 下記1)と4)は必須で、2)と3)のグループからそれぞれ 1 曲ずつ計 4 曲を、 約 45 分のリサイタルを構成するように演奏すること |
1) | 1)細川俊夫:《スペル・ソング―呪文のうた―》オーボエのための |
2) | 1.J. S. バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータ BWV1013 より クーラントとサラバンド 2.F. クープラン:《趣味の融合 または新しいコンセール集》より 第5番or第6番or第7番 3.C. Ph. E. バッハ:無伴奏フルート・ソナタ Wq. 132 4.A. ヴィヴァルディ:オーボエ協奏曲 RV 461 |
3) | 1.N. スカルコッタス:ソロ・オーボエとピアノ伴奏のためのコンチェルティーノ 2.A. ドラティ:協奏的二重奏曲 3.L. ベリオ:セクエンツァ Ⅶ 4.D. ミヨー:オーボエとピアノのためのソナチネ 5.A. パスクッリ:ドニゼッティ「ポリウート」の主題による幻想曲 6.A. パスクッリ:ヴェルディ「シチリア島の夕ベの祈り」の主題による大協奏曲 |
4) | W. A. モーツァルト:オーボエ協奏曲より 第2楽章 + 第3楽章 |
本選 | 以下の2曲を演奏すること |
1) | W. A. モーツァルト:オーボエ四重奏曲 |
2) | R. シュトラウス:オーボエ協奏曲 |
審査委員
審査委員長 |
ハンスイェルク・シェレンベルガー |
オーボエ奏者、指揮者 | |
審査委員 |
モーリス・ブルグ |
オーボエ奏者 | |
審査委員 | 古部賢一 |
新日本フィルハーモニー交響楽団 首席オーボエ奏者 | |
審査委員 |
ゴードン・ハント |
ロンドン室内管弦楽団 首席オーボエ奏者,元フィルハーモニア管弦楽団 首席オーボエ奏者,指揮者 | |
審査委員 |
小畑善昭 |
東京藝術大学音楽学部教授 | |
審査委員 |
ドワイト・ペリー |
シンシナティ交響楽団 首席オーボエ奏者 | |
審査委員 |
吉田 將 |
読売日本交響楽団 首席ファゴット奏者 |
結果
応募国数:24の国と地域
応募人数:169名
予備審査 | 2018年4月(非公開) |
結果 | 46名が第1次予選に出場 |
第1次予選 | 2018年9月29日(土)・30日(日)東京オペラシティ リサイタルホール |
結果 | 18名が2次予選に進出 |
第2次予選 | 2018年10月2日(火)・3日(水)・4日(木)東京オペラシティ リサイタルホール |
結果 | 6名が本選に進出 |
本選 | 2018年10月6日(土)紀尾井ホール |
第1位[大賀賞] | 該当者なし |
第2位 | 浅原由香 |
第3位 | アンドレイ・チョロキャン、アルマン・ジコルム(アルファベット順) |
入賞 | ナタリア・アウリ、裵 紗蘭、ジョエル・ココ(アルファベット順) |
聴衆賞 | アルマン・ジコルム |
奨励賞 | 高橋鐘汰 |